ノイズ対策 制御技術

電気制御における機器、及び配線に関するノイズ対策について

更新日:

 

 

ノイズ対策について

電気制御における制御盤、操作盤、装置間の接続配線、及び装置本体内の配線について、各ノイズ対策についてとりあげる。

<制御盤内の絶縁トランス・ノイズカットトランス>

制御盤において、ノイズ低減の観点から、客先から制御盤の主電源の接続後の位置に絶縁トランスを設置することを要求されることがあります。
絶縁トランスは、コモンモードのノイズを阻止するのにかなり有効となります。
しかしながら、回路の一番上流に使用するため、容量も大きいものが必要なので、スペースやコストの面でかなり負担はかかります。
実際に、客先の電源にノイズの問題が疑われる場合、絶縁トランスの1次側と2次側をシールド処理したノイズカットトランスを設置するとより効果があります。

 

<制御盤内のノイズ対策品の使用及び配線>

制御盤において、ノイズを考慮した部品配置、及び配線、特にパソコン用の電源、PLCの電源やコントローラーの電源は、各々独立させたノイズフィルター、サージキラーやDC電源を介して供給します。また、これらの外部に引き回される入力用のDC電源と出力のDC電源は別電源とし、またこれらの配線も近くを並走しない様に出来る限り距離をおきます。出力電源ラインから入力ラインへのノイズの影響を最小限とする様にします。特に、ノイズ処理前の配線とノイズ処理後の配線は近づくことがない様に注意します。

・コントローラーの出力として接続される動力配線は他の配線と分離します。
・盤内のDC線とAC線とは出来る限り分離する。
・盤内のDC電源線は、出来る限り太い配線でツイストし配線します。

 

<制御盤内のアース線について>

アース線は、各機器(PLC、NF、DC電源等)から1本づつ筐体アースまで接続しなければなりません。
盤筐体に専用のアースバー(銅製の厚い板)を用意し、そこへ落とさなくてはなりません。
アース線は、緑色(CEマークでは黄緑)の線で、2sq~3.5sq、物によっては5.5sq、8sqサイズを使用します。
またこの時使用する圧着端子は、丸端子のものを使用してください。
合わない圧着端子は、事故に繋がります。
それから、筐体アースと各機器(PLC、NF、DC電源等)アース端子間は、確実に繋がっていなくてななりません。

 

<盤間のアース線について>

また、制御盤と本体装置のアース同士も出来る限りしっかり接続されていて電気的に同電位が最も望ましく、逆に同電位で無い場合は、信号のやり取りが不安定となり誤動作の原因になります。
接続されていない場合は、出来る限り太い線で接続することをお勧めします。
ただし、装置そのものがノイジィーな場合、コモンモードのノイズがコントローラ等にのってくる場合もありますので注意が必要です。

 

<通信配線>

ツイストペアシールド線を使用し、両側のシールド線をケースアースなどなるべく近いところに落とします。
通常シールドケースコネクタを使用する場合、両端接続になります。
場合によっては、片側接続の方が状況が良い場合もまれにありますので問題がある場合は確認して処理してください。

 

<PLCやパソコンのI/Oボードと装置に取り付けのセンサー等の配線について>

一般的には、シールド線を使用し、シールド部は受け側でケースアースなどなるべく近いところに落とします。(シールド片側接地)

 

<配線全般について>

動力配線、AC配線とDC配線は、導電性の遮蔽板でしきるか、距離を離して別配線をして下さい。
また、DC配線においても電磁弁などを直接駆動する様な回路がある場合は、DC電源もそれぞれの電源を使用し、その配線も入出力でそれぞれ分けて配線します。

 

以降、必要項目を随時修正・追加し、お客様のお役にたてるように内容を充実していきます。

 

 

ノイズ関連の用語について知っておこう

EMC(Electro Magnetic Compatibility)

 電子・電気機器が相互に干渉し合う現象の総称で
 ・外部に対して妨害を与えるという EMI
 ・外部からの妨害に耐える イミュニティ
 という2つの側面がある

EMI(Electro Magnetic Interfarence)

 EMCのうち、外部に対する電磁的な妨害・干渉などの放出現象の総称。

FCC

 アメリカの電子・電気機器のEMCに関する規格を定めている国家機関で、アメリカに輸出する機器はFCC規格をクリアするようにノイズ放出を抑えなければならない。FCC規格は、機種に応じたクラスがある。

VCCI(Voluntary Control Council for Interference by Data Processing Equipment and Electronic Office Machines )

 情報処理装置等電波障害自主規制協議会のこと。

VDT(Video Display Terminal)

 いわゆるビデオ端末の総称。人間に対して視覚的情報を提供するが、周囲の電子機器に電磁的影響を与え、人間に有害な放射線を放出する。

アイソレート

 ノイズの観点から言うと電気的に分離すること、主に光でアイソレートするという手法などが用いられます。
  例)フォトカプラ絶縁

イミュニティ

ノイズに対する耐性のこと。

インピーダンス

 電気回路における等価的な抵抗成分(電流を流し難い性質)のこと。抵抗では、直流も交流でも変わらないが、コンデンサやコイルを交流回路で使用すると周波数によって変化する。

グラウンド・接地

 信号や電圧の基準となるゼロ電位のこと。「接地」「アース」もほぼ同じように使われるが、感電防止の保安用接地など、電気的な意味が微妙に異なる場合も多い。

グラウンド・ループ

 電気回路において、複数のグラウンド地点が理想的にゼロ抵抗で結合されずにインピーダンスが存在すると、等価的な閉ループ回路が構成されてしまうこと。ループというの一種のコイルであり、通過する磁力線の変化でノイズ電圧が発生する。

高調波成分

 完全なサイン波形でない一般の交流信号では、基準となるサイン波形とその整数倍の周波数のサイン波成分の合成として表現される(フーリエ分解)。この基本周波数以外の整数倍の周波数成分に相当する部分を高調波成分という。

コモンモードノイズ

 ノーマルモードノイズと異なり、2本の新合繊のそれぞれとグラウンドの間にのるノイズ。それぞれの信号線にのっているノイズ成分は、グラウンドから見ると全く同じであるために、逆位相にして合成するとキャンセルすることが出来る。

ノーマルモードノイズ

 信号ラインとグラウンドの間にのったノイズ成分、あるいは2本の間にのったノイズ成分のこと。一般にノイズ源の電圧も電子機器と共通のグラウンドを持つために、たいていのノイズがノーマルモードノイズとなる。

サージ

 瞬間的な高電圧ノイズの総称。例えばAC電源の100Vラインにのるサージノイズは数千Vになることがあるが、持続時間が極めて短いので、それほどパワーは大きくない。

シールド

 「遮蔽」のこと。電磁的な影響を遮断するためにシールド材で囲うことで、「静電気シールド」「時期シールド」「電磁シールド」などがある。

周波数帯域

 ノイズを含む信号の周波数成分が分布している帯域のこと。例えば、完全なサイン波であれば周波数成分は基本周波数だけであるが、デジタルの方形波信号では多くの高調波成分によって周波数帯域が広くなり、無限小の幅のパルスの周波数帯域は理論的には全帯域となる。

スレッシュホールド

 デジタル回路では、入力として与えられた電圧が一定のしきい値より低い場合にL(Low)と解釈するように動作し、一定のしきい値より高い場合にH(Hight)と解釈するように動作する。この判定基準をスレッシュホルドという。一般にノイズ成分がのることによる誤動作は、スレッシュホルド電圧の付近で起こる。

スイッチング電源

電源装置の回路方式のうち、高周波回路によって電圧をスイッチングして電圧を変換するタイプのもの。エネルギー効率が良いために小型家領化に向いているが、出力のノイズ成分や外部への高周波ノイズ放出というデメリットがある。

電磁波

 地球上や物体の内部を含む宇宙空間のすべてには、何もない真空であっても信号が伝わる「場」(電磁場)があり、この電磁場の振動が電磁波である。具体的には電解と磁界の変動が高速で伝わる現象をいい、いわゆる電波だけでなく、熱の放射や光も電磁波である。

熱雑音

 金属や半導体の内部を移動する電子は、温度によって変化する金属原子の振動の影響を受けるため、本質的な変動成分を持つ。これを熱雑音という。

ノイズマージン

 どの程度のノイズ電圧としては影響を受けずに無視できるか(耐えられるか)というマージン(余裕度)のこと。大きいほどノイズに強い。

パスコン

 一般に電子回路の電源ラインに乗ったノイズ成分をバイパスさせるコンデンサを略してパスコンという。デジタルICの電源ピンと最寄りのグラウンドの間に入れるパスコンは、デジタルICの常識である。

ハム

 AC電源の50Hz/60Hzの周波数成分がどこかから漏れて、「ブーン」という音として聞こえる現象のこと。機械的な振動として人間の耳に届くので、わかりやすい一種のノイズ現象である。

ハングアップ・暴走

 コンピュータの誤動作現象の一種で、ノイズトラブルやソフトウェアのバグなどの原因で異常状態となり、キーボードやスイッチからの入力を何も受け付けない状態となること。一般にハングアップ・暴走が起こればリセットするしかない。

インバータ

 工場の装置・機器の電源として汎用に使えれる電源装置のこと。パワーを自在に変えられ、エネルギー効率もよい(省エネ)ので広く普及しているが、ノイズ放出の問題も起きている。

フェイルセーフ

 システムのトラブルがあった場合に、安全サイドに回避、または退避して停止するように設計する思想・手法をいう。

平滑コンデンサ

 主に電源回路に用いられ、直流電源にのっている交流成分(変動成分)を滑らかに平滑する働きがある。一種のローパスフィルタである。

保安用接地

信号の基準電圧としてのグランドでなく、感電防止のために用いられるアースのこと。送電系の高電圧が万一の接触などで機器側に漏電するのを防ぐために、日本では商用交流電源の一方が設置されており、これに対して機器の接地端子をアース棒などで接地すること。

ラッチアップ

 半導体素子が、静電気やサージ電流などにより異常な動作状態になること。放置すると阻止破壊に至り焼損、火災の原因にもなり兼ねない。

リセット

 デジタル回路やマイコン機器では一般に、電源を入れると「リセット回路」によって強制的にリセット状態から動作を開始する。リセットボタンやリセットスイッチも異常状態からの復帰のために用意される。

リセットIC

主にデジタル回路やマイコン回路で、リセット信号をタイミングよく発生するための専用IC。リセットのパターとしては。
 ・電源投入時(電圧が安定するまで一定時間の遅延をおいて動作させる)
 ・電源電圧低下時(規定電圧以下になった場合に動作させる)
 ・CPUの暴走時(自動的に暴走を監視するウォッチドッグタイマー機構にて動作させる)

リブート

 コンピュータシステムが、リセット動作によってサイド起動しなおすこと。コンピュータの初期設定動作を「ブート」と呼ぶことから、再度ブートすることの意味。

 

Copyright© エレコンツ設計事務所 , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.