実際、もっと具体的な話を知りたいな。
CEマークを語るにはそれが一番じゃ。
この記事では
CEマークが確立された歴史的な流れ、つまり関連協会や関連規格の歴史などについて出来る限りわかりやすく紹介していきます。
EC(ヨーロッパ共同体)・EU(ヨーロッパ連合)~EN規格~EC指令の制定~CEマークについて
欧州規格が、CEマークに至るまで歴史・内容をまとめて述べると下記のとおりです。
1952年に、ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体、1958年にヨーロッパ原子力共同体、ヨーロッパ経済共同体発効。
1967年に、上記の三つを統合して、EC(ヨーロッパ共同体)発足。
1993年に、EU(ヨーロッパ(欧州)連合)が誕生し、EC指令を制定(※1 EN規格で補完)された。
この指令内容は、機械指令、電磁適合性(EMC指令)、低電圧指令、CEマーキング、他など。
そして、EC加盟国の輸出には、EC指令に適合していること、適合していることの証明、適合していることを宣言するマーク(CEマーク)が必要とされることとなった。
※1 EN規格は、1961年~1988年に
1961年に欧州標準化委員会、1973年に欧州電気標準化委員会、 1988年に欧州電気通信標準化委員会が設立さている。
上記の内容を詳細に説明したものが、それぞれ下記の図のとおりとなります。合わせて、参照して頂くとわかりやすいかと思います。
EC(ヨーロッパ共同体)からEU(ヨーロッパ連合)の誕生までの歴史
EN規格の歴史
EUの誕生からEC指令の制定~CEマーク
ヨーロッパ又は欧州は、地球上の七つの大州の一つで、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアをはじめユーラシア大陸北西の50カ国あまりの国を総称していいます。
その内の30内外の国がEU(欧州加盟国)に加盟しています。
欧州連合の「EU28カ国」+「EFTA4ヵ国」の合わせて32ヵ国
CEマークについて
CEマークとは
製造メーカー自身がEC指令に適合していることを証明するマーク"です。
"CE"とは、"Commuaute Europeenne"(仏語) (英語では "European Community")の略語です。
すべての欧州連合の「EU28カ国」+「EFTA4ヵ国」の合わせて32ヵ国に対して、対象商品にCEマーク付加することにより、自由流通することが可能になります。
CEマーキングとは
上記のCEマークを付加して表示することをCEマーキングといいます。 今後、CEマ-キングがない装置については?
日本から、EC加盟国に輸出(または流通)する対象となる装置・製品は、EC指令に適合していることが必要となります。
このため、適合していることを証明するCEマークがないとEU加盟国での流通ができないことになります。
CEマークの目的
CEマークの目的は、以下の3点です。
- 欧州経済地域に加盟している国において、各国ごとの異なる安全認証手続に煩わされることなく、製品を自由に流通・販売することを可能にすること。
- 企業に同じルールを課すことにより、公平な競争を促すこと。
- 製品の消費者、使用者が同じレベルの健康、安全、環境に関する保護を享受できるようにすること。
CEマーキング表示と、製造メーカーの責任については?
CEマーキングは、"製造メーカー自身がEC指令に適合していることを証明するマーク"ですので、マークを表示した責任は、メーカー自身にあります。(自己宣言により表示するため)
仮に、CEマークを表示した装置・製品が、使用目的に沿って使われたにもかかわらず、安全性に問題がある場合や、該当する指令に不適合が確認された場合、加盟国はあらゆる適切な対策が実施できます。すなわち、それらの装置製品を市場から撤去し、市場への出荷、稼働、使用を禁止するなど、自由な移動を制限することができます。
EU加盟国に輸出する、製造メーカーの動向は?
上記のようなリスクを回避するためCEマーキングを行う場合は、EC公認機関などの第3者試験機関で検査・試験の実施、および規格適合の認証(認証はEC公認機関に限る)を受けるケースが増えています。
EC指令について
EC指令とEN規格(欧州規格)とは?
ヨーロッパのEU加盟国では、これまで各国が独自に規格・基準を設けることにより製品の品質や安全性の保証を行ってきましたが、EU内で製品の自由な流通ができるよう加盟国で通用する共通の規格・基準が設けられました。これがEC指令です。(EC指令は、欧州共同体閣僚理事会から出される司令書の総称です)
また、欧州標準化機構であるCENとCENELECとによって制定された共通の規格がEN規格です。EN規格のうち所定の手続きを経た整合規格はEC指令に規定された必須要求事項を満足しているか否かの具体的な判断を示しています。EN規格はEC指令を補完するものとして活用されています。
EC指令の内容とは?
CEマーキングに関するEC指令のうち、代表的な指令には以下のようなものがあります。
対象となる装置・製品は該当する指令の全てを満たすことが必要です。
指令名 | 主な指令番号 | 主な製品例 |
機械 ※1 | 89/392/EEC | 工作機械、建設機械、木工機械、部品装着機、検査機械、繊維機械 |
電磁適合性(EMC)※2 | 89/336/EEC | 電気・電子装置使用機器、家電、事務機、電話器、電動機 |
低電圧 ※3 | 93/68/EEC | AC50~1000V、DC75~1500Vで作動する機器 |
医療機器 | 93/42/EEC | 診断用および治療用機器 |
簡易(単純)圧力容器 | 93/68/EEC | ガス圧力容器、自動車用ブレーキ用圧搾空気容器 |
遠隔通信端末機器 | 93/97/EEC | FAX、モデム、ISDN |
玩具の安全性 | 88/378/EEC | 人形、パズル、子供用自転車 |
マ-キング | 93/68/EEC | CEマ-キングに関する表示の統一 |
※1 機械指令 (Machinery Directive)とは?
機械指令は機械が必要とすべき安全上の必須事項を要求しており、工作機械、射出成形機、自動機等を中心とした産業用機械が対象となります。空気圧機器は、機械指令が規定した機械ではありませんので、指令の対象にはなりませんが、弊社の欧州規格適合認定品を使用することで、お客様が適合宣言の際に必要なテクニカルファイル(TCF) の作成作業を簡易化することができます。
※2 電磁適合性 EMC指令(Electromagnetic Compatibility Directive)とは?
EMC指令は、電磁適合性に関して定めた指令です。電磁妨害波を生じる恐れのある機器、または、その機能が電磁妨害波によって障害を受ける恐れのある機器に関して、過度に電磁的な影響を与えず(EMI/エミッション)、同時に電磁的な影響に対して耐性を持つこと(EMS/イミュニティ)を要求しています。
EN50081-2(エミッション)
EN55011(Radiated Electric Field Strength) | 放射、伝導ノイズ(製品から空中放射される電磁ノイズの制限) |
EN50081-2(イミュニティ)
EN61000-4-2:1995(ESD) | 静電気放電(帯電した人体などからの放電に対する耐ノイズ性) |
ENV50140:1993(RS) | 放射電磁界:80~1000MHz、10V/m(無線機・携帯電話などからの耐ノイズ性) |
ENV50204:1995(RS) | 放射電磁界:900±5MHz、10V/m(無線機・携帯電話などからの耐ノイズ性) |
ENV50141:1993(CS) | 伝導イミュニティ(電源・アース線などを通して流入する電磁耐ノイズ性) |
EN61000-4-4:1995(EFT/Burst) | バースト波雑音(リレーの遮断や電源投入時に発生する電磁耐ノイズ性) |
EN61000-4-8:1993(Power Frequency Magnetic Field) | 電磁周波数磁界(商用電磁周波数(50/60Hz)の電磁耐ノイズ性) |
※3 低電圧指令 (Low Voltage Directive)とは?
使用電圧が、AC50~1000VおよびDC75~1500Vで動作する製品が対象となり、電気的な安全が要求されます。
CEマーキング品と認定品との違いは?
前述の「自己宣言書の発行とCEマーキング」「EC指令とEN規格」で述べましたように、EC指令を補完するEN規格に適合していることを公認機関で認証を受けた製品が認定品です。CEマーキング品は公認機関の適合証明書をもとにSMCがEC指令に適合していることを自己宣言した製品です。
製品自体に違いはありません。
スペア部品(メンテナンス用)の扱いについては?
CEマーク付き装置(製品)に使うスペア部品は、すでに装置全体での適合確認がされていますので、再度適合試験を行なう必要はありません。
テクニカルファイル(TCF)の内容は?
テクニカルファイルの内容は、その製品の指令への適合性を評価立証するために必要で、必須要求事項をどのように適合させ対策を実施したかを記述すると共に、その製品を理解するために必要な仕様書、配線図などの技術資料により構成されます。
あくまで一例ですが、テクニカルファイルの内容には、次のようなものが必要とされています。
1) 機器に関する一般的な説明 (取扱説明書など)
2) システムブロック図、配線図
3) 機器の動作を理解するために必要な説明、記述
4) 規格リスト、及び指令の必須要求事項を満足するために実施した安全対策の説明
5) 実施した検査内容
6) 試験報告書
7) 取扱説明書(仕様書)
これらの文書は、自己宣言書と共に、製造メーカー自身が該当製品の生産終了後10年間保管することを要求され、規制当局からの提出要請があった場合には、規定の期日までに応じる必要があります。
自己宣言書(適合宣言書)の内容は?
自己宣言書は、製品が各指令の要求に適合していることを宣言した書類です。
自己宣言書の内容には、次のようなものが必要とされています。
1) 製造業者名
2) 所在地
3) 製品の名称と品番
4) 適合する指令や整合規格
5) EU内での代理人の名称と住所
6) 宣言者の署名
さらに今後、製品を例にとって具体的に説明していきたいと思います。